「エシカルフード」から考える、体にも環境にも優しい食とは

「エシカルフード」から考える、体にも環境にも優しい食とは

いま、私たちは気候変動や森林資源の枯渇、水不足など、さまざまな環境問題に直面しています。そこで注目が高まっているのが、環境や人権、動物福祉に配慮した「エシカル消費」を通して社会の課題を解決する動きです。この記事では、毎日の食事から地球の未来を考える「エシカルフード」について解説します。

エシカルフードとは?

エシカルという言葉を直訳すると、「倫理的な」という意味です。つまりエシカルフードは「倫理的な食事」と言い換えることができますが、具体的にはどんなことを指すのでしょうか。

  • 地球環境に配慮している

農薬や化学肥料を使わずに、環境への負担を減らす方法で生産されていること。効率的な生産のために農薬や化学肥料が普及していますが、環境への負荷が高いと言われています。化学肥料は窒素を含むため、土壌に投入されると微生物によって温室効果ガスである一酸化二窒素が発生し、地球温暖化が進む原因になります。また、過度な農薬の使用は水質汚濁や水産動植物に影響を与えます。

*参考:農林水産省

  • 搾取的な労働をさせない(フェアトレード)

開発途上国で生産されている原料や製品を、買い叩かずに適正な価格で継続して調達していること。世界貿易において、材料を輸出する発展途上国に対して適切な価格を支払わないことによる低賃金や、児童労働が問題視されています。そうした状況を防ぐために、安全な労働環境の確保や最低価格を保証するなどの基準をクリアした商品には、「国際フェアトレード認証ラベル」が表示されています。

*参考:フェアトレードジャパン

  • 動物福祉に配慮している(アニマルウェルフェア)

効率性を重視した工業型畜産ではなく、家畜動物を快適な環境下で飼養し、動物が感じる苦痛の回避に配慮していること。ストレスフリーな環境で飼育したり、自然交配や自然分娩で繁殖するといった畜産方法は、家畜の健康を維持し、安心・安全な畜産物の生産につながります。また、畜産業は飼育時にCO2を排出するため、課題を解決する手段のひとつとして、動物性食材を食べない食生活も注目されています。

*参考:消費者庁アニマルウェルフェア畜産協会

エシカルフードの具体例

有機野菜やオーガニック食材を中心に、旬の野菜が週に1度届く、定期宅配サービス。有機農産物や有機加工食品など、生産者の想いやこだわりがつまった商品を約1,500点以上取り扱っています。

フェアトレード専門ブランド。1991年からコーヒーや紅茶、チョコレートなどを取り扱っています。パッケージがかわいらしいチョコレートは、2017年にソーシャルプロダクツアワード大賞を受賞しました。

毎日の調理に使う人も多いごま油。明治19年創業の九鬼産業は、2012年にフェアトレードの認証を取得。国内で消費されるごまの99%以上が輸入ですが、国内で初めて国際フェアトレード認証ごま油を発売しています。

牧草地で放し飼いされ、自然の営みのままゆっくり大切に育てられた世界中のお肉をオンラインで購入できます。仕入、在庫管理、出荷業務を全て自社で行っているので、農場から食卓までのトレーサビリティが明確です。

畜産は飼育の際に大量の水を使い、温室効果ガスを排出する産業です。しかし、肉を食べる文化を急には変えられない。そこで、「地球を終わらせない」を合言葉に100%植物性の代替肉が開発されました。「NEXTカルビ」や「NEXTハラミ」など、多種多様な代替肉を販売しています。

シェフ、マーケター、研究者を中心に構成された食の領域の課題解決に取り組む「dot science」が、収穫された魚介類の中で、規格外の不ぞろいの海産物を原材料にシーフードソーセージを開発。消費者がたべることで、「海」の課題解決につながるプロダクトです。

エシカルフードのメリット

エシカルフードは、なるべく環境や人に負担をかけないので、さまざまなメリットがあります。

  • 環境への負担を減らす

工業型畜産をやめたり、化学肥料や農薬を使うのをやめたりすることは、生産効率を低下させてしまう側面もあります。しかし、現代では過剰な食糧生産により大量廃棄が深刻化しているため、化学肥料や農薬を使わない農産物を選ぶことは、フードロスの削減にもつながります。また、工業型畜産のために世界中で森林を伐採しているため、森林資源を維持することにもなります。

  • 身体にやさしい

地球環境に配慮して化学肥料や農薬を使わずに育った農産物は、身体にもやさしいと言われています。有機肥料は豊富な栄養分を含み、自ら害から守ろうと抗酸化物質をつくり出します。有機肥料で育った野菜を食べることは、私たちの身体をダメージから守ることにつながります。

*参考:ナショナルジオグラフィック

  • 経済効果が生まれる

食べ物の廃棄される部分を活用したエシカルフードは、処分や運搬にかかるコストを削減できます。またフェアトレード商品を購入することは、発展途上国で働く人の貧困の解決につながります。

エシカルフードを選ぶことが未来につながる

環境や身体への負担を減らすエシカルフードを選ぶことは、未来の地球のことを意識して日々を過ごすこと。多くのエシカルフードは大量生産型ではないために手間がかかるので決して安くはないですが、私たちが毎日の食事に少しずつ取り入れたら、ポジティブな変化を起こすことができるはず。エシカルフードを見つけたら、購入してみてはいかがでしょうか。

*参考:環境省フェアトレードジャパンFood Ethics Council

くらだしマガジン編集部

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