「規格外野菜」はお買い得? 購入するメリットや販売場所を紹介

「規格外野菜」はお買い得? 購入するメリットや販売場所を紹介

直売所やスーパーなどで、規格外野菜が販売されているのを見たことがある方もいるでしょう。規格外野菜は形や色などが出荷の規格を満たしていない野菜です。しかし、見た目以外の品質は正規品と何ら変わりありません。この記事では、味はそのままに価格がお得な規格外野菜について、その特徴や販売場所を解説します。

規格外野菜の多くが廃棄されている

規格外野菜とは一般的に形や色などが「規格」を満たしていない野菜です。農家で生産された野菜が、直接スーパーや八百屋などに並ぶわけではありません。ほとんどの野菜は、生産者から「農協」などの出荷団体や卸売市場を通して店頭に並びます。

農家の収穫した野菜が店頭に並ぶためには「出荷規格」に通らなければなりません。野菜ごとに定められた規格を満たしていなければ出荷ができないため、規格外の野菜の多くは廃棄されます。例として新潟県の発表している「新潟県青果物出荷規格基準」を見ると、人参の「規格基準」では、品質、形状、色つやが良好であることが求められます。

なお、国内の作物生産状況を調査する作況調査(農林水産省、2020年)を見てみると、収穫量が1,304万5,000トンなのに対して出荷量は1,125万8,000トンでした。出荷されなかった野菜のうちいくらかは肥料として再利用されますが、およそ180万トンが廃棄されている可能性があります。数ヵ月かけて収穫しても、店頭に並ばずに廃棄される野菜も多くあるのが現状です。

*参考:新潟県青果物出荷規格基準農林水産省

「味」の品質は正規品とほぼ同じ

また、規格外野菜について、以下のようにあまりよいイメージを持っていない方もいるかもしれません。しかし、規格から外れている野菜であっても、味自体は正規品とほとんど変わりません。

  • 股になっている
  • 割れている
  • 曲がっている

規格外の野菜・果物に関する消費者意識調査(日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業、2010年)では、規格外の野菜・果物を購入する理由として「規格品と味が変わらないから」と回答した方の割合が50%を超えました。そのため、規格を満たしていない野菜でも、安心して食べられるでしょう。

*参考:日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業

規格外野菜を購入するメリット

現在、スーパーや八百屋に並んでいる野菜は、ほぼすべてが規格を満たしています。では、なぜ規格外野菜を購入する方がいるのでしょうか?規格外野菜を購入するメリットについて解説します。

1. 安く野菜を買える

規格外野菜のほとんどは、規格を満たしている野菜よりも安い価格で買えます。なぜなら、規格外野菜は、スーパーや八百屋などに出荷できる基準を満たしておらず、価格がつかないからです。しかし、「見た目や色が悪くても、安全性を満たしていて価格が安ければ規格外野菜を購入したい」と考える消費者もいるのではないでしょうか? 規格外野菜は安く野菜を買いたいと考えている方におすすめです。

2. フードロス削減につながる

従来、規格外野菜の多くは出荷できないため、そのまま廃棄されていました。農家が廃棄をする理由は、市場に流通させると、供給量の過剰により規格を満たした野菜の価格まで落ちてしまうからです。とはいえ、農家の方が一生懸命時間をかけて育てた野菜を廃棄しなければならない現実に、心を痛めている方も多いのではないでしょうか?規格外野菜を購入すれば、廃棄量減少によりフードロスの削減につながります。そして、農家の方も、規格外野菜を廃棄せずに済むので、育てた苦労も報われるでしょう。

*参考:Jタウン ネット

規格外野菜を消費する取り組みの事例

現在、規格外野菜を消費する取り組みに興味がある消費者が増えています。アップサイクルの調査(株式会社オレンジページ、2021年)を見ると、アップサイクルの一例として試してみたいと思うもののなかで「規格外の魚・野菜を利用した食品」と回答した方の割合は50%を超えました。

そして、一部の企業では規格外野菜を活用しようと、さまざまな工夫を行っています。そこで、規格外野菜を消費する取り組みを行っている事例を3つご紹介します。

*参考:株式会社オレンジページ農林水産省

1. ローソン

大手コンビニチェーンを展開するローソンでは、全国でローソンファームと呼ばれる農場を運営しています。ローソンファームでは、採れた野菜のうち10〜15%ほど発生する規格外野菜を廃棄せずに加工し、店頭に並ぶ惣菜や漬物などに活用しています。この取り組みが評価され、2017年には「グリーン市場拡大のためのグリーン購入大賞(第18回)」の大賞と農林水産大臣賞の2つを受賞しました。

*参考:ローソンファームローソンファームの取り組み

2. フリフル

フリフルは、無料で規格外農作物や規格外の農作物を使用した加工品(ジャムやドライフルーツなど)をもらえるサービスを展開しています。サービスを行った結果、9,733kg(2021年11月)のフードロス削減に成功しました。生産者の収益増加にもつながってます。

*参考:フリフル

3. FOOD TEXTILE

規格外野菜のフードロス削減の方法は、食べることだけではありません。FOOD TEXTILE(フードテキスタイル)では、廃棄予定の野菜に含まれる染料で染めた素材や商品を販売しています。

規格外野菜やカット野菜の切れ端を農家や食品加工業者から買い取り、野菜に含まれる染料を独自の技術で抽出します。そして、抽出した染料を靴やワンピースなどの商品に活用する仕組みです。FOOD TEXTILEが作った製品は、天然染料を90%以上使用しているので、色合いが優しく、安全性も高いといえます。

*参考:FOOD TEXTILE

規格外野菜の販売場所3選

規格外野菜を買いたいけれど、どこで買えばよいのかわからず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか? そこで、ここからは規格外野菜を買える場所を3つ紹介します。興味がある方は、ぜひ規格外野菜の購入を検討してみてください。

1. 道の駅や直売所

規格外野菜は「道の駅」や直売所で販売されています。道の駅や直売所を利用するメリットは、地産地消に貢献でき、旬の農産物を買えること。一般的に販売されている野菜よりも安価で、その季節に美味しい野菜を買えます。何より、地域で採れた野菜を買えるので、地元の生産者の支援にもつながるでしょう。

*参考:KAGOME

2. 通販サイト

近くに道の駅がなかったり直売所が見つからなかったりする方は、通販サイトからの購入をおすすめします。規格外野菜を販売している代表的な通販サイトは以下の通りです。

  • KURADASHI
    規格外野菜などの商品を最大97%OFFで購入できるだけでなく、売上げの一部を社会貢献活動団体へ寄付できます。
  • 食べチョク
    野菜だけでなく、果物や魚介類など多くの規格外品や加工品などを購入できます。さらに、生産者が自分で価格を決められるので、購入することが生産者への支援につながるでしょう。
  • unica
    スーパーなどに出荷できない規格外野菜や傷ありなどの商品を、生産者から直接購入できるサービスです。

通販サイトであれば、規格外野菜を手軽に注文できます。また、自宅で待っているだけで規格野菜が届くため、一度に多くの量を購入したい方や重いものを持ち運べない方でも利用しやすいでしょう。

*参考:食べチョクウニカKURADASHI

3. スーパーマーケット

近年、スーパーマーケットでも、規格外の野菜を販売するケースが増えています。埼玉県草加市にある「生鮮スーパーゼンエー」では、不揃い、傷があるなどの規格外野菜を販売しています。また、大半の農家は、豊作になると値崩れを避けるために規格を満たした野菜であっても廃棄しています。しかし、生鮮スーパーゼンエーでは、規格を満たした野菜も取り扱っているので、農家を助けることになります。

*参考:ダイヤモンド・チェーンストア

規格外野菜を食べることがフードロス削減につながる

規格外野菜のメリットは、市場に流通している野菜よりも価格が安いことだけではありません。規格外野菜を食べると野菜の廃棄量が減るので、フードロス削減につながります。

近年、道の駅や直売所以外でも、規格外野菜を購入できる場所が増加しています。 特に通販サイトを利用すれば、自宅から手軽に購入できるのはもちろん、生産者の支援にもつながります。

これまで規格外野菜を購入したことがない方も、この機会にぜひ規格外野菜の購入と活用を試してみてはいかがでしょうか。

くらだしマガジン編集部

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