調味料の「捨て方」をご紹介。正しく捨てて環境を守ろう

調味料の「捨て方」をご紹介。正しく捨てて環境を守ろう

「冷蔵庫を整理していたら、賞味期限の過ぎた調味料が見つかった」といった経験はありませんか?

いざ調味料を捨てようとしても、正しい捨て方が分からず、困ってしまうことがありますよね。誤った方法で調味料を捨ててしまうと、河川に流れ込み、水質汚染につながりかねません。今回は、家庭でよく使う調味料の正しい捨て方についてご紹介します。

目次

調味料が河川に流されると水質汚染につながる

各家庭で調味料を直接シンクなどに流してしまうと、水中の栄養分が過剰になってプランクトンが大量に発生し、河川の赤潮の発生原因となります。その結果、水生生物へ悪影響を与えかねません。

最近では、北海道釧路町の天然ウニの9割が赤潮により死滅してしまいました。これを再生させるためにクラウドファンディングが行われています。この再生には4~5年もの時間がかかり、その間は当然、ウニの水揚げはできません。

このような赤潮の被害や健康被害などを出さないために、河川や海洋には、排水する水質の基準が定められています。そのひとつが、「BOD」(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)です。

BODとは、微生物が河川に流れた調味料などに含まれる栄養分を分解する時に使う酸素量のこと。水中で微生物が消費する酸素量が多ければ多いほど、その水が汚れていることになります。

魚などの水生生物が生息するためには、BOD((mg/L)が5mg/L以下であることが必要とされています。以下は、河川に生息する一部の魚が生息するためのBOD基準です。

調味料を河川に流した場合、大量の水で薄めてBODを基準値以下にすることになります。
例えば、ケチャップ大さじ1杯が河川に流れた場合、基準値内にするためには、浴槽の0.8杯分、大さじ1杯の天ぷら油なら浴槽の約17杯分もの水で薄めなければなりません。

*参考:未曾有の赤潮被害で9割が死んだ昆布森のウニをよみがえらせたい!,国土交通省九州地方整備局 熊本河川国道事務所

 

家庭でよく使う調味料の正しい捨て方

調味料は、基本的に可燃ごみとして処理されます。しかし、調味料の種類ごとに可燃ごみとして処理されるまでの手順が異なるので、それぞれの捨て方をご紹介します。

下記の道具をあらかじめ準備しておくと調味料を捨てる際に役立つでしょう。

  • ビニール袋
  • キッチンペーパー
  • 新聞紙
  • 使わなくなった布
  • 廃油処理袋

*参考:江戸川区 燃やすごみ

液体調味料

醤油・みりん・お酢(液体調味料)
醤油・みりん・お酢などの液体調味料 は、可燃ごみとして紙や布に液体を吸わせてから廃棄します。ビニール袋の中に、あらかじめキッチンペーパーや新聞紙を敷き詰めておき、液体をビニール袋に流し入れて、紙類に液体を吸収させます。ビニール袋の代わりに、牛乳パックを使用してでもよいでしょう。液体を吸い終わったら、ビニール袋の口を結んで、可燃ごみとして廃棄します。

ケチャップ・マヨネーズ(粘り気のある液体調味料)
ケチャップやマヨネーズは、液体の粘度が高い液体調味料です。液体調味料と同様に、紙や布に吸収させて廃棄します。

しかし、調味料の容器の内側に液体が付着してしまうことが難点です。調味料が容器に少量残ってしまった場合は、軽く水洗いをしてからプラスチックごみとして出すか、そのまま可燃ごみとして廃棄します。

食用油
油も醤油と同様に紙類に油を吸収させてから、可燃ごみとして廃棄します。ところが、油は他の調味料と違って、気温の高い環境にさらされると、自然発火する恐れがあります。

特に夏場は、気温が高くなりやすいので、水と一緒に紙類に吸収させてから捨てるか、市販の廃油処理剤で固めてから捨てましょう。

*参考:自然発火 八尾市, 日清オイリオ’s キッチン

固体調味料

砂糖、塩、コンソメ(粉末調味料)
ビニール袋に調味料を入れて口を縛った後、可燃ごみとして処分しましょう。

味噌、バター(固形調味料)
冷蔵庫から取り出した直後は固体の状態ですが、常温に戻ると液体化します。液体が漏れ出さないように、紙類もしくは古布で固体調味料を包んでから、ビニール袋にいれて可燃ゴミとして廃棄しましょう。

粉末調味料

粉末調味料には小麦粉、片栗粉、ホットケーキミックスなどがあります。こちらは固体調味料と同様に、調味料をビニール袋に入れて口を縛った後、可燃ごみとして捨てます。

粉末調味料は、液体調味料を固めるための「凝固剤」の代わりにもなります。粉末調味料をシンクに流すとつまりの原因になるため、絶対にやめましょう。

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廃棄したい調味料が大量にある場合はどうする?

少量の調味料を廃棄する分には、そこまで手間は掛かりません。
しかし、大量の調味料を廃棄しなければならない場合は、どうすれば良いのでしょうか?

お酢は普段の掃除に活用する

大量に余ってしまった賞味期限切れのお酢は、家の掃除に使える便利なアイテムです。
酸性のお酢は、水垢、黒カビ、皮脂汚れのような、アルカリ性の汚れに対して効果を発揮します。

お酢と水を1:1の割合でスプレーボトルで混ぜ、汚れの気になる部分に吹き付けた後、スポンジでこするだけで汚れが落ちます。しつこい汚れにはお酢を吹き付けた後、ラップで蓋をして時間を置き、こすり洗いをするときれいになります。

食用油は自治体が回収している場合がある

自治体によっては、廃食用油の回収拠点がある場合があります。回収拠点に油を持ち込むだけなので処理に手間が掛かりませんし、リサイクルにも貢献できます。

回収拠点に持ち込める油は、どこの自治体でも下記のような植物油のみなので注意しましょう。

  • サラダ油
  • ごま油
  • オリーブオイル

一方で、動物性油や機械油は、沈殿物が多く回収のコストが高くなってしまうので回収できないようです。そのため、バター、ラード、牛脂のような動物性油は可燃ごみとして処理しましょう。

回収された植物油は「バイオディーゼル燃料」として再生利用がされます。バイオディーゼル燃料とは、植物油から作られるディーゼルエンジン用の燃料を指します。

今後は、植物油・動物性油・機械油関係なく回収できるような研究開発が求められます。技術の進歩と回収システムが構築されれば、私たち消費者にとっても回収しやすい仕組みになるでしょう。

*参考:名古屋市 使用済み天ぷら油(食用油)のリサイクル, 新日石総研

その他液体調味料

液体調味料が大量に余っている場合、袋に紙類を入れて液体を吸わせる作業が手間になってきます。そこで、便利なのが廃油処理袋です。廃油以外にも、水分を含んだドレッシングや飲み残しの処分が可能です。

廃油処理袋の中には、あらかじめ吸油材が敷き詰められていますので、そのまま調味料を流し入れるだけです。吸油剤が液体を完全に吸収したら、袋の口を縛って可燃ごみとして処分しましょう。

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正しく調味料を捨てることで環境を守る

賞味期限が極端に過ぎてしまった調味料をやむを得ず処分しなければならないのは、残念ですが仕方のないこと。しかし、誤った方法で調味料を廃棄すると河川の汚染につながり、魚などの水生生物が生息できなくなる恐れがあります。

私たち消費者が調味料を適切に廃棄し、河川や海洋への環境負荷が高くならないようにすることが重要です。美味しい魚介類をこれからも食べ続けられるかどうかは、私たちの行動次第といえるでしょう。

くらだしマガジン編集部

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